2015.4.10

『アシガール』で
据え膳食わないクール男子の
やせ我慢に萌えろ!

少女マンガ三代人気キャラといえば面白さ、ではなく完全「クール」です!

熱血オラオラ派か、知的クール派か

『アシガール 1』(森本梢子/集英社 マーガレットコミックス) ©『アシガール 1』
(森本梢子/集英社 マーガレットコミックス)

少女マンガで人気の男性キャラといえば、断然クールタイプです。中には『花より男子』の道明寺とか、『王家の紋章』のメンフィスのように、熱血乱暴者もいますが、彼らの当て馬は花澤類やイズミル王子のようなクールキャラです。

女がなぜクール男子に弱いかというと、「なにか大きなもの(責任やトラウマ)」 を抱えていて、母性本能がくすぐられることですか。 知り合いに、ものすごくモテる男子がいますが、まあヤツは甘え上手ですわ。「ああ、この人は私がいないとダメかも……」とか少女漫画脳をビンビン刺激してくれます。あ、ちゃんと収入はある人だから、そういうところはしっかりしてますけどね。

それにクールで物事に動じなければ、なにかあっても暴力を振るわれたり、大声で怒鳴られたりすることはなさそうです。こちらがなにをしても「そうかそうか」と寛容に受け止めてくれそうです。ぶっても殴っても怒らなそう。

そもそも男の大声ってちょっと怖いし(ものすごい爆音でくしゃみするおっさんとかいるけど、そこまで音量必要ですかね)、ヒーローがメンフィスや道明寺のように元気いっぱい男子の場合、それが好みじゃない読者は、こうしたクール当て馬で溜飲を下げるわけです。

とにかく人気はクールです。間違いない。少女マンガ三代人気キャラといえば『BANANA FISH』のアッシュ、『ときめきトゥナイト』の真壁くん、『イタズラなKISS』の入江くんですが、彼ら全員知的クールです。 男性のみなさん、女にモテたいなら、「面白い話」じゃなくて「クール」ですよ。

据え膳食わない“寸止め男子”が少女マンガでは高評価

彼に会いたいがために足軽となって戦場に出る! ©Jonathan Kos-Read

そこで『アシガール』。この作品は、とてつもなく足の速い女子高生・唯が、自身の天才弟の作ったタイムマシーンで戦国時代にタイムスリップし、そこでめちゃくちゃイケメンの若と知り合い、彼に会いたいがために足軽となって戦場に出る、という話です。一言でいうと戦国ラブコメですな。

これが……いいんです!
友人の娘さん(中学生)に「森本梢子でなにがお勧め?」と聞いたら「アシガール!」と叫んでおりました。連呼しておりました。中学生からアラフォーまで夢中になる『アシガール』。こりゃもう鉄板ですな。

若君のステキなところのひとつは、据え膳食わないところ。 若君に会いたい一心の唯は、その夜、若の閨(ねや)に差し出されるはずの姫とすり替わり、姫っぽい格好をして若に会いに行きます。縁側に続く部屋で、物思いにふける若。すだれの向こうには一式のふとん。唯と話が弾んだ若は、閨に唯を誘います。 が!! 唯がビビって断ると、深追いもせずにそのまま唯を行かせてしまいます。少女マンガでは、男は急に、いくらでも、いつでも止まれるんです。男の扱いがひどいマンガだと、あまりに寸止めさせられるので、男子キャラの体調が気になるほどです。

そして少女マンガ的には、男キャラがなにか衝撃的な体験をしたとき、吐いて欲しいセリフは「マジっすか! ビビったわぁ〜!」じゃなくて、「……驚いたな。」です。 喜怒哀楽のうち、怒と哀は表現しなくていいんです。若も間違いなくこのタイプ。しかも18歳だってよ。どれだけ老成してるんですかこの人。

『アシガール』は2015年3月現在絶賛連載中です。んが、どうやら電子版の発売が紙のコミックスよりも数週間遅いらしく、最新刊の5巻が読めないままで、悶え死にそうです。出版社の方々、どうか紙と電子は同時に発売してください。

Text/和久井香菜子