2017.9.12

誕生日を特別な日にしたい。
でも私にとっての特別って何だろう

自分が一番楽しかったと思えるような日を、
ちゃんとコーディネートしたい。

自分の誕生日をどう過ごすか

優しく温かい光を放つプレゼント型ランプの画像 by Tim Mossholder

夏がひと段落つき、秋に差し掛かるころ、私はいつも同じ悩みを抱えている。そう。来たる9/3、自分の誕生日をどのように過ごすべきなのか、いつも困ってしまう。

 悩みに悩んだ結果、今年はバンジージャンプをしに行くと決めていた。私は元々高所恐怖症で、高い所が苦手。 何かに初挑戦したい気持ちと、年を重ねることをきっかけに何か苦手なものを克服しようという気持ちがあり、悩んだ結果として、1万6千円というぼったくりかと思うようなバンジージャンプをするために、4時間かけて茨城県のダムを選んだ。そのバンジージャンプは、地上から100mの高さにある橋から飛び降りることができ、日本一の高さを誇っているようだった。

 自分でも馬鹿らしい、何をしに行くんだろう、しかも誕生日に一人で……という様々な否定的な気持ちと葛藤しながら、朝5時前に起床し、何本かの電車を乗り継いで北上していく。
最寄り駅に着くと、一本の電話が。出てみると、どうだろう。今朝、ダムから水死体が上がり、営業ができないという。「こんなことあんのかよ!」と思いながら、結局何もせず、東京へととんぼ帰りをするのだった。そこのバンジージャンプは、大雨だろうが濃霧だろうが決行されるため、中止になることなんて滅多にないそうだ。
結局、特別なことは一切なく、何もしないでただ年を取っただけの日になってしまった。なんだか私らしいなあ、なんて思ったりもする。

 そう。おひとり様にとっては誕生日の過ごし方というのは、かなりの悩みどころだと思う。一緒に過ごしてくれる彼氏もいないし、友達に祝ってもらうのもなんだか違う気がする。気を遣ってもらいたくないし。家族も違う。

 誰かと一緒に過ごしていると、無理やり祝ってもらっているというか、一緒に過ごしてもらう感謝の気持ちよりも申し訳なさの方が勝ってしまう。人の時間を自分勝手に無駄にしてしまっているような、周囲の人の優しさを利用しているだけなような。
「こんな気持ちになるなら、初めから一人で過ごした方がいいかなあ」と思って、もう何年も一人で好き勝手にしたいことをしている。

 でも、一人でやりたいことなんて、誕生日でなくてもできる。私で言えば、海外旅行に行くとか、映画を見に行くとか、好きなアーティストのライブに行くとか? 

 特別だけど、わざわざ誕生日にしかできない特別なんかじゃない。何か特別な一日にしなければいけない気がするのに、自分の「特別」が何も思い付かない。
毎年毎年、自分の想像力の乏しさにうんざりする。高いものを買ったり、少し贅沢な食事をしたりする? そんなのダメだ! 金で買えるもので、私の心は満たされないんだ!

≫【番外編】あたそさんが外資系コンサルとランチデート!?

特別な日だからこそ、自分が一番いいと思える体験を

私の人生の中で、最もいい誕生日を過ごせたのは、モロッコのサハラ砂漠で星空を観に行った時だった。あれはよかった。日中50℃近くになる、砂以外は何もない砂漠をラクダに揺られながら進んでいく。それだけで異世界を歩いている気持ちだった。
ラクダに乗り過ぎて、内股が筋肉痛になることなんて滅多にないと思う。暑さで殺されそうにはなったことも、オレンジっぽい砂と青い空というシンプルな構成でできた景色も、砂の上に布団を敷いて星を見ながら眠ったことも、恐らく絶対に忘れないし、何かあった時にふと思い出して「また頑張ろう」という気持ちになるんだろう。

 そうそう。そうだよ! そういうことだよ! 体も心もパーフェクトに満たされるような経験を、一年に一度の特別な日にしたい。誰かが一緒にいるから、なんとなく楽しかったとかじゃなくて。お祝いの日だから、ただケーキを食べてみるとかじゃなくて。

 自分が一番楽しかったと思えるような日を、ちゃんとコーディネートしたい。でも、社会人になってしまった今、時間にも制限があるからそう簡単に飛行機に乗る訳にはいかないし、自分に興味があることも限られている。
他の人はどんな風に誕生日を過ごしているのだろうか? 誰かと一緒にいることも、一人でなんとなく過ごすことも憂鬱に思えてしまう、年に一度の特別な日を。

 来年の9/3は月曜日。有給を取って旅行に行くか、それとも日本でまたアホらしいことに挑戦するのか。多分、今年と同じように悩んで、なんだかんだ何もしない誕生日になってしまう気がする。
ただ生まれた日ってだけなのに、これからもこの悩みや心が少し沈んでいくような気持ちを抱えていくのかと思うと、ちょっとだけ気が重い。

Text/あたそ

<日本ほど一人行動しやすい国はない。「さびしい」の思い込みを取り除こう>もチェック!
女ひとりで行動しても浮かない日本がちょっと好きになるかもしれません。