2017.11.10

焼きサンドウィッチと珈琲が絶品!
マスターと楽しくおしゃべりできる
純喫茶「TOM」

映画のようなエピソードを聞きながら
美味しい珈琲を楽しめる、代々木駅前の純喫茶。

皆さんは純喫茶のメニューで何が一番お好きでしょうか?
私はその時々のブームがあって、かつては毎日オムライスを食べても飽きず、平日も1時間という短い昼休みを存分に利用して、勤務地から行ける範囲の純喫茶へひたすら足を伸ばして食す日々もありました。

 現在のブームは「ホットサンド」です。メニューには「焼きサンドウィッチ」と書いてあることも。食欲をそそるこんがりとした焼き色とさくっとした表面。そこにはたっぷりのバターが染み込ませてあり、運ばれてくるまでに漂ってくる匂いだけでおなかが鳴ってしまうほど、魅惑のメニューです。

 都内には好きなホットサンドを食べられる純喫茶が何軒かあるのですが、今回はその中から、代々木の駅前にあり、美味しい珈琲とマスターとの楽しいお喋りも楽しめる「TOM」を紹介します。

マスターとのお話を楽しみながら…
代々木「TOM」

代々木「TOM」

いかにも純喫茶、という内装の1階にも惹かれますが、窓が多くて開放感のある2階席がとても好きです。ほの暗くてときめく階段を上がった2階では、初代マスターがお出迎え。

ランタンと椅子

誰かとの打合せでこちらにやってくることが多いせいか、扉を開ける私を見つけた二代目マスターは「待ち合わせ?」といつも声を掛けて下さいます。

光射すTOM

メニューを一通り眺めて、待ちに待った焼きサンドウィッチと、この日のサービスコーヒーを注文します。楽しみに待つこと数分。初代マスターがにこやかに近づいてきて、こんな風に話しかけて下さいました。

サンドイッチとコーヒー

「物を書く人でもネタに困ることがありますか? もしそうであれば私がいくつでもお話をしましょう。こういう仕事をしていると、話のネタは尽きることがありませんからね」と。

 ある日伺ったのはこんな話でした。

初代マスターの豊富な話題に聞き入ってしまう

TOM店印

「うちは高校生をアルバイトに雇わない規則なのだけど、あるとても寒い日に、セーラー服を着た女性が店に飛び込んできて『ここで働かせてください』っていうんです。お断りする理由を伝えると『これ!』と手渡されたのは、卒業証書。『今日卒業してきたからもう高校生じゃないんです』と。思わず笑ってしまったのと、彼女が明るくて元気な良い子でしたから、雇うことにしたんです。

 すると、『もう1人働きたいという人がいるんですけど…』と言うんです。なんとそこに現れたのは彼女のお母さん。どうやら、お酒を飲むと暴れてしまう父親から二人で逃げようと決めていて、それがちょうど高校卒業の日だったそうで。
でも、2人は雇う余裕はなかったから、お母さんの方には住み込みの別の仕事を紹介してね。娘さんは働きながら勉強して資格を取って、立派に就職したのです。

 それからしばらく経ったある日、彼女が僕の前に現れてね。『会ってほしい人がいます。マスターが賛成するなら結婚したい』って1人の男性を連れてきたんです。きちんとした人だったから歓迎して、2人は無事結婚して、旦那さんの故郷である広島へ行ったそうです。もちろんお母さんも連れて。
お父さんはどうしたかって?『県境までは許すけどそれ以上は近づかせていないわ』って」

 美味しいホットサンドを頂く前に、こんな風に映画になりそうなエピソードをマスターから聞くことが出来るTOM。

TOMデザート 人気メニューのババロア。こちらには「ジジロア」という名物メニューも!

ちょっと一息つきたいとき、煮詰まったとき、誰かと話したいときに、こちらへ寄ってみてはいかがでしょうか?
今日はマスターからどんな話が聞けるのか、楽しみな時間になりそうです。

Text/難波里奈


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