2017.11.24

煙草を燻らす方々の姿も
純喫茶の風景の1つですが…
全席禁煙を決意した「穂高」の想い

煙草のある風景、それも純喫茶の醍醐味でもあります。
が、今夏禁煙を決断したお店の方たちの思いは?

朝起きて布団から出たくないと感じるようになり、本格的な冬がやってきたと実感するこの頃です。皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
外出の途中に、ふらりと立ち寄った純喫茶で飲むあたたかい珈琲が、ますます美味しい季節ですね。

 さて、純喫茶ととても縁があるものでありながら、苦手な方も多く、悩ましい存在である「煙草」。純喫茶をテーマとしたイベント時の質疑応答でも「禁煙席がある店を教えてください」と多く聞かれます。

 これだけ純喫茶に夢中な生活をしておりながら、私も煙草は吸わず、近距離で嗅ぐその匂いはとても苦手です。純喫茶以外の飲食店では必ず禁煙席を選ぶほどなのですが、それが純喫茶のこととなるとまた話は別で、恋をしているゆえの弱みのようなものでその風景込みで愛してきたという背景もあり、自分の中で折り合いをつけられています。

 とはいえ、身体の事情がある方やお子さん連れの方には切実な問題であるのも確かです。
そんな皆さまに、今夏より全席禁煙となった御茶ノ水の純喫茶を紹介したいと思います。

全席禁煙に踏み切った、
山好きマスターの「穂高」

JR中央線と総武線が並走する御茶ノ水駅の聖橋口改札を出て、右手にわずか30秒ほど歩くと見えてくる「穂高」

穂高の看板

店名が示す通り、山好きのマスターと奥様、お嬢さまにアルバイトの方々というアットホームな雰囲気がこちらの特色です。

穂高の店内

昭和30年創業、長い間どちらの席からも煙草の煙がぷかぷかと浮かんでいましたが、マスターの体調不良がきっかけで、また働く人たちの受動喫煙を防ぐため、2017年8月より全席禁煙となりました。

お皿とメニュー表

純喫茶へ行きたくとも煙草が苦手な方たちからは喜びの声はあるものの、喫煙される常連客の中には足が遠のいてしまった方も多いそうで「前より静かになってしまいました」と二代目のお嬢さんはさみしそうに笑って話して下さいました。

煙草のある風景もまた、純喫茶の醍醐味でもある

クリームソーダ

今までにいくつかの純喫茶の店主たちからも、それぞれの事情をきっかけに禁煙に踏み切った話を伺いました。確固たる決断ではあったものの、しばらくの間は客足が減ってしまったり、毎日のように姿を見せてくれていた常連客たちに会えないことを寂しく思うとのこと。
ただ、今まで出会えなかったような人たちがきてくれるようになったと、嬉しい側面もあるそうです。

「純喫茶がとても好きで色々と行きたいのですが、煙草が苦手な場合はどうしたら良いですか?」と聞かれた時、わたしは「お店が認めているということは、その環境も込みで、そちらの純喫茶の醍醐味かもしれません。なるべく煙の少ない時間帯を見極めるなどして、自分の中で納得できる時にお邪魔しましょう」とお答えしています。

「穂高」は季節を感じられる窓際の席がとてもおすすめです。

窓際の席

店員さんたちもてきぱきと働かれていてとても居心地の良い素敵な空間ですので、煙草が苦手な方々も、吸われる方もこの時ばかりはしばし煙草を忘れて、居心地の良い「穂高」にてお好きな一杯をゆっくりと味わうのはいかがでしょうか?

Text/難波里奈

前回記事<焼きサンドウィッチと珈琲が絶品!マスターと楽しくおしゃべりできる純喫茶「TOM」>もチェック!
映画のようなエピソードを聞きながら美味しい珈琲を楽しめる、代々木駅前の純喫茶。