2018.2.23

結婚をあせらすのは宗教勧誘と同じ…
プレッシャーがマリハラを産む
負の輪廻を絶ち切ろう

結婚や子どもを急かされたって、
プレッシャーと感じることはない。
それは、聞く人が無神経なだけです。

結婚も子どもも急かされることじゃない

靴を脱いで砂浜を裸足で歩くウェディングドレス姿の花嫁の画像 ©Sweet Ice Cream Photography


「早く結婚しなよ」
「子どもはいらないの?」
って聞かれたら、どう思いますか?

 ここでどう感じるかが人生の分かれ道です。

 こうした発言をプレッシャーだと感じ「早く結婚して子どもを産まなければ」と思う人と、「なんて無神経なことを言う人なんだろう」と思う人、大きくふたつに分かれそうです。和久井は後者です。

 30年くらい前だったか、こんな事件がありました。
とある夫婦が、病院に乱入して新生児を誘拐したのです。彼らは奪った赤んぼを、そのまま自分の子どもとして育てていました。1カ月ほどで夫婦は捕まり、赤んぼは本来の親の元に返されました。

 もちろん、誘拐された赤んぼの親御さんたちの苦悩は想像するにあまりあります。でも和久井が忘れられないのは、犯行に及んだ夫婦の動機です。

 夫婦は不妊に悩んでいたそうです。子どもが欲しいのにできない。周囲からは「子どもはまだ?」と聞かれる。何度も何度も。
追い詰められた妻は、おなかに座布団を入れて妊婦を装うようになりました。そうして遂に「そろそろ子どもを産んだことにしなければつじつまが合わない」と思い詰めてしまうのです。
その末の犯行でした。

 この事件を知ったとき「そうか、子どもについて聞くことは人を犯罪に駆り立てるほどの悪なんだ」と知りました。そして、人を思いやるのに想像力が大事だということも。

 ところが未だに、こうした発言をする人が多いと聞き、残念です。
和久井の友人は、結婚式に参加したら同列した主婦たちに「結婚しないの?」「子どもはいらないの?」とさんざん聞かれて、ゲンナリして帰ってきました。彼女と同棲している男性は大病を得て、現在リハビリ中です。その場の空気を読んで近況を語らなかった彼女はえらかった。「もともと、そのうちの1人は、とても面倒見のいい子なんですよ。だからそのマリハラも好意のつもりなのでしょうね」と。

 和久井は、主婦のおばさまたちから、
「今が楽しいから結婚なんて考えられないのよね?」とか、
「子どもはいいものだよ、子どもから学ぶことはたくさんあるよ、早く産みなよ」などとさんざん言われてきました。

 そしてそう言われれば言われるほど、全員を一緒くたにして申し訳ないけれど「ああ、専業主婦にはなりたくないな」と思ってしまいました。

 結婚を急かされることも、子どもの有無を人から問われることも、プレッシャーと感じることはないですよ。聞く人が無神経なだけ。
プレッシャーだと思うと、自分が結婚したときにマリハラをする側に回ってしまうかもしれません。他人から受けた攻撃は、また他人に返してしまうものだからです。この輪廻は絶対に絶ち切らないといけません。

結婚や子どもを強要することは宗教勧誘と同じ

未婚率が上がってるって? 少子化が進んでるって?
だって選択的夫婦別姓問題も、保育所問題も、男性の家事労働問題も、なにもかも解決せずに棚上げなのだから、当たり前じゃないですか。個人のせいじゃありません。

 次に結婚だの子どもだの言ってくる人がいたら「わあああぁぁ!」とか突っ伏して泣いてみるとか、「てめえ、ふざけんなよ」って説教したらどうでしょう。

 友人の夫に「子どもはいいぞ」って言われたときに「お前無神経だな、もし私が不妊で悩んでたらどうするつもり?」って聞いたことがあります。「そういうつもりじゃなかった」と言ってましたが、想像力が足りなすぎです。嫁と2人でさんざん責めたので、この夫が二度と無神経な発言をしないことを祈ります。

 結婚や子どもを誰かに強要するのは、道端で他人の幸せを祈りたがる宗教の勧誘と同じです。

 彼女たちが「自分たちは幸せだ、幸せだ」と声高に叫ぶほど、虚勢を張っているようで、どうしても幸せそうには見えません。どんな人生を歩もうが、いいことも悪いこともある。後は自分の考え方です。

 うちの親も一時期うるさかったので、「あなたたちの言うことを聞いて、よかったと思うことは今までひとつもない」と言ったら大人しくなりました。

 自分の人生は自分で決めるのが一番幸せです。バツイチの人に離婚の理由を聞くと「親のプレッシャーを受けて結婚を決めたけど、してみたら違った」って言う人が意外と多いです。
結婚って、したらおしまいじゃなくて、それがスタートですから、焦って正気を失わずにじっくり考えたいものです。

 今度結婚や子どもを提案されたら、泣いて「私だって本当は子どもが欲しかった……」とか叫んでみようと思います。想像力が足りないなら、実際に体験いただくほかにはありません。

 誰もが他人の人生を尊重できる自由な社会になりますように。


Text/和久井香菜子