
もしも純喫茶を開くなら…
「喫茶店の日」に自分の理想を
描いてみませんか?
どんな空間にしますか?
4月13日は「喫茶店の日」
待ち遠しかった桜の開花が随分前のことのように思えるほど、新緑がまぶしいこの頃です。皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
寒い日々を乗り越えて、ようやくやって来た4月もあっという間に半ばとなりましたが、本日4月13日はいったい何の日と呼ばれているか、ご存知でしょうか?
正解は「喫茶店の日」です。それは「1888年4月13日、鄭永慶によって、東京・上野に日本初の喫茶店『可否茶館(かひいさかん)』が開業した」ことによるもので、1階がビリヤード場、2階が喫茶室だった洋館は文化人たちの知識の交流の場所として賑わいましたが、わずか5年で閉店してしまったそうです。もしも、タイムスリップできるなら、日本初の喫茶店がどんな風だったのか覗いてみたいものです。
純喫茶がお好きな方なら「もしも自分が純喫茶を開くなら…」という空想を一度はしたことがあるのではないでしょうか? 最寄り駅、窓の大きさ、店の名前、椅子の座り心地、コーヒーカップの形、メニューの種類…。私もたまに考えることがあるのですが、色々な店に足を運んでそれぞれの魅力を知ってしまったからこそ、自分にとっての「一番」を決めるのはとても難しいことだということに気がつきました。
純喫茶には細部まで計算された美しい世界がある
以前、あるテレビ番組に出演させて頂いた際、スタジオのセットについてスタッフの方から「いくつかの店が混ざってもいいから、自分の理想の空間を作るとしたら椅子やテーブル、壁紙、床などどこの店のものを選びますか?」という質問を受けて、とても悩んだことがあります。
というのも、好きな店はいくらでも挙げることができるのですが、その空間にあるお気に入りのテーブルや椅子などの家具、コーヒーカップやシュガーポットなどの食器たちを思い浮かべてみると、その店の中で存在するからこそ、絶妙なバランスで輝いているのでした。ですので、数店舗からいくら素晴らしい部分だけを切り取って集めたとしても、他の店に存在していたものたちと調和するとは限らず、それゆえに店主たちが作り上げた理想の世界というのは、細部に至るバランスまで計算しつくされているのだ、と感激したのです。そうして、1軒1軒が作られた過程を思うと、店主たちの溢れ出る愛情や情熱を感じ、ますます愛おしくなるのでした。
今日は「喫茶店の日」。帰り道に大好きな純喫茶に寄るのも、いつもと違う駅で下車して知らない純喫茶の扉を開けてみるのも、また、すぐに訪れることができない場合は、頭の中に存在するお気に入りの空想純喫茶を訪問しながら、自分で丁寧に淹れた珈琲を飲むこともおすすめです。
珈琲の香りにほっとするひと時を(苦手な方はお好きな飲み物を)。本日は、一日のどこかに「喫茶店で過ごす時間」を作ってみるのはいかがでしょうか?
Text/難波里奈
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はじめての書籍で紹介した思い出の場所。閉店が決まった押上の純喫茶「伽羅」で、マダムの思いに涙がこぼれます。