2018.5.14

その時選択したことは
最善だと思う
/誰に見せるでもない爪


第40回「その時選択したことは最善だと思う」

つめをぬるひと 『その時選択したことは最善だと思う』 ©つめをぬるひと

今回は「最近結婚を意識していた恋人に別れを告げられました。そして、就職先が決まりました。
全て1週間以内の出来事で一気に視座が変わったように感じます。自分の門出を自分でお祝いしてあげたいです」という 読者投稿だ。

 良いことと良くないことが同時に起こって、端から見ればプラマイ0と思われがちだが、その人自身にとっては100と-100の間をめまぐるしく行ったり来たりしている。
そんな中で元気に過ごしていくには何か一つでも支えというか、拠り所にできるものがあると救いになる。

 私がつけ爪の販売を始めた頃のことだ。
価格をどうするか考えていて、最初に設定した“1セット1,000円”についてどう思うか当時の彼に聞いたら「ちょっと高くない?」と言われた。
相場を調べた上で設定した価格ではあったのだが、つけ爪に興味のない人からしたら高いと思われるのは仕方ないのかもしれないと思いつつも、私はその価格のまま販売することにした。別にそれが原因ではないが、その年の冬に彼と別れた。

 現在、当時のまま1,000円で販売している商品も一部あるけれど、季節ものやその月にしか販売しないもの、材料にコストがかかるものなどは、価格を上げて販売している。
しかし、その上がった価格ですら、最近はお客様や周囲から「安すぎる」と言われるようになった。

 元彼への不満を書くほど引きずっているものは何一つ無いけれど、あの時自分が決めたことを曲げなくて良かったな、と自分の頑固な性格を褒めた。

 別れた当時は辛かったけれど、仕事や何か他のことに打ち込んだことは必ず糧になるし、その時選択したことは最善なんだと思う。

 今回の投稿を送ってくださった読者の方の門出を、私は爪を使って全力でお祝いする。

Design&Text/つめをぬるひと

この連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。
あなたのエピソードを添えて、送ってください。
前回記事<周囲との差なんて、実はたいしたことない>もチェック!
生活力なんていつからでも遅くない。「周囲との差」がテーマです。

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